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水稲の害虫:斑点米カメムシ注意報最多

更新日: 2026/02/18
執筆者 農研機構 植物防疫研究部門 作物病害虫防除研究領域 病害虫防除支援技術グループ グループ長補佐 髙篠賢二
2026年2月18日付日本農業新聞掲載

 気象庁の記録によると、2025年夏の平均気温偏差は過去最高の+2.36度であった23年以降、記録的に高い気温の夏が3年間続いたことになり、猛暑の夏が常態化しつつある。高い気温は斑点米カメムシ類の発生に好適なことから、発生量が平年比「多」や「やや多」となったところが多く、35道府県から延べ46件の注意報が発表された。発表件数は過去10年で最多となる。一方、25年は九州地方から関東・北陸地方にかけての梅雨入りが非常に早く、梅雨明けも早かった。また、期間中の降水量は全国的に少なく、空梅雨となった。このような状況から、梅雨前線に伴う下層ジェット気流に乗って中国などから飛来する害虫の発生は比較的少なく、注意報などの発表もなかった。

出穂前の除草でカメムシ抑制

 斑点米カメムシ類は畦畔(けいはん)や休耕田のイネ科植物で増殖し、稲の出穂に伴って水田に侵入して、登熟期のもみを吸汁することにより米粒の一部または全体が変色・変形した斑点米を生じさせる。近年、高温傾向が続く中で、斑点米カメムシ類は全国的に多発傾向となっており、発生地域では適切な防除対策を行う必要がある。
 防除対策の基本は圃場(ほじょう)周辺の雑草管理と本田での薬剤防除である。畦畔や農道のイネ科雑草はカメムシの増殖源、圃場への中継地となる。稲の出穂1~2週間前までに圃場周辺の雑草を刈り取り、稲の出穂期前後にイネ科雑草の穂が出ないようにすることで水田への侵入量を減らし、被害を抑制することができる。
 一方で、稲の出穂期以降に穂の出た雑草を刈り取ると、水田にカメムシを追い込むことになるため注意が必要である。また、水田内のヒエやイヌホタルイなどはカメムシの誘因、発生源となり被害を助長するため、水田内の雑草対策にも留意する。本田での薬剤防除はイネ出穂後の殺虫剤散布が基本となる。一般に穂ぞろい期~出穂10日後に散布し、発生量が多い場合はその7~10日後に追加散布する。ただし、カメムシの種類や発生量、薬剤の種類により適切な散布時期・回数に若干の違いがあるため、病害虫防除所などの情報、指導を参考にして防除を行う。

イネカメムシ(左)とクモヘリカメムシ


ウンカ類多発で坪枯れ被害も

 トビイロウンカとセジロウンカは日本では越冬が不可能であり、毎年梅雨期に中国南部などから下層ジェット気流に乗って国内に飛来する。九州地域を中心として西日本で飛来が多い傾向にあるが、飛来時期・量・回数は年によって変動するため、毎年の飛来状況を把握し、その後の発生に注意する必要がある。近年では、20年にトビイロウンカが多発し、11府県で警報が出され、各地で坪枯れの被害が出た。
 防除対策としては育苗箱施薬剤の利用と本田殺虫剤散布が挙げられるが、一部殺虫剤に対し薬剤感受性が低下している事例が報告されており薬剤の選定には注意する。両種による被害が警戒される地域では、育苗箱施薬剤による対策に加え、必要に応じ適期に本田防除を実施する。トビイロウンカ多飛来時は中期・後期の基幹防除、臨機防除を徹底することが大切である。また、本田防除の場合は、薬剤がウンカ類の生息場所である稲の株元まで十分かかるよう心がける。


トビイロウンカ(左)とセジロウンカ

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