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改正植防法で雑草の防除強化 日本植物調節剤研究協会

更新日: 2026/02/18
執筆者 公益財団法人 日本植物調節剤研究協会 理事長 大谷敏郎
2026年2月18日付日本農業新聞掲載


 2023年4月、植物防疫法の一部が改正された。有害動植物の定義が見直され、「有害植物」にそれまでの真菌、粘菌、細菌、寄生植物とウイルスに加え、「草(種子及び果実を含む)」が明記された。農業現場で問題となっている雑草が、これまで有害植物の定義に含まれていなかったのは意外だが、雑草も輸入検疫や発生予察、防除の対象になる法的枠組みが整備された。これにより、植物防疫の対象に雑草が正式に追加され、国および都道府県による監視・防除体制に組み込まれた。
 24年には福島県が特定外来生物ナガエツルノゲイトウで、雑草としては全国初の「病害虫発生予察特殊報」を発出した。これは、発生の拡大を防ぐために県内農業者や関係機関へ早期注意喚起と防除指針を示したもので、雑草を対象とした新しい予察の一例と言える。さらに25年には岡山県や愛知県、群馬県でも同種に対する特殊報が発出されるなど、地域を越えて早期に問題雑草の発生予察情報が共有される体制が広がりつつある。

総合防除指標策定へ 体系的な情報を発信

 植物防疫法の改正に伴い、国の定める「総合防除基本指針」に沿った「総合防除計画」が各都道府県により策定され、30年までに具体的な取り組みをまとめた「総合防除実践指標」の策定が都道府県、市町村、および農業者団体によって進められる。ただ、総合防除計画においては、現在のところ対象となる雑草は、一部の県で雑草イネやナガエツルノゲイトウが記載されているのみである。今後、特定外来生物のオオフサモやオオバナミズキンバイなどの他、問題雑草として顕在化しつつある除草剤交差抵抗性イヌホタルイや多剤抵抗性ノビエなども大きな脅威となる可能性があり、これらに対しても確実な防除指導がなされることが期待される。
 このような状況を踏まえ、当協会では問題雑草の現場での効果的な防除や、「総合防除計画」「総合防除実践指標」作成の参考などのため、関連情報の体系的な発信を行う。例えば、実証圃(ほ)を用いた防除試験検討会の開催、現場での具体的な防除法を簡潔にまとめた「除草カタログ」の充実、さらに総合防除の観点で耕種的・物理的・生態的な防除手法を組み合わせた事例(畦畔=けいはん=の芝地化技術)などの情報提供はすでにホームページで発信しており、今後も順次拡充する予定だ。


雑草イネ
ナガエツルノゲイトウ

BS評価体制を整備

 近年注目されているバイオスティミュラント(BS)について、25年5月に農水省から「バイオスティミュラントの表示等に係るガイドライン」が公表された。このガイドラインでは、同資材の表示内容の信頼性を確保するため、科学的評価の実施が求められている。
 当協会では従来からBS相当の資材を、植物成長調整剤として農薬登録するための枠組みの中で検討してきた。したがって確実な効果が得られる使用法や条件が評価の対象だった。一方、今回のガイドラインでは、効果が期待される標準的な使用方法や使用上の注意すべき事項(効果が出ない条件など)を使用者に示すことが事業者に求められている。
 そこで当協会では今回のガイドラインの趣旨に沿った「バイオスティミュラント等評価試験」を新設し、個々の試験について設計から試験方法、試験結果、データの信頼性までを有識者により評価する体制を整えた。この試験で得られた成績は同資材の効能を示す根拠データとなる他、効果の変動条件を探る手がかりにもなると考えている。今後もこのような科学的な評価を積極的に進めていく。

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