よみもの
登録拡大推進など現場に貢献 日本植物防疫協会
2026年2月18日付日本農業新聞掲載

2025年の病害虫の発生を振り返ってみると、特に水稲の斑点米カメムシ類の発生が多かった。過去10年で最多の35道府県から延べ46件の注意報が発表されたが、米の収量や品質への影響は限定的だった。果樹カメムシは、24年の越冬密度が平年以下であったため16道県で延べ18件の注意報の発表にとどまった。
野菜は、24年同様ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガなどの発生が多かったが、警報の発表はなかった。総じて適期防除が徹底され、病虫害による被害は少なかった年と言えるのではないか。
その一方で、外来害虫であるチュウゴクアミガサハゴロモは、注意報が1県、特殊報が21府県で発表されるなど分布域が拡大している。今のところ被害は報告されていないが、今後注視していく必要がある。
登録拡大さらに推進 引き続き現場へ貢献
農水省は25年8月以降、3剤の再評価を終了した。しかしながら、再評価や使用者安全評価により農薬登録が維持できなくなり、防除に影響が生じつつある状況は続いている。その対応として、当協会はこれまでも基幹防除剤について代替農薬の適用拡大登録などに向けて特別連絡試験を行ってきた。引き続き、防除の現場への影響を軽減するさまざまな取り組みを推進していく。
また、使用者安全の規制強化などにより、使用者安全性が高く省力性に優れた常温煙霧法やドローン散布はますます有望な散布法になっており、登録農薬の拡大が普及の鍵となっている。これまで同様「農薬の新施用技術検討協議会」や当協会独自の助成事業を活用しつつ、農薬メーカー、防除機メーカー、都道府県などと協力し、登録農薬の拡大を推進していく。
マイナー作物対策としては、当協会は農水省植物防疫課をはじめとした関係機関と協力し、農薬登録のための試験が円滑に実施できるよう、「マイナー作物を対象とした農薬登録取得に向けた試験の実務書」の改訂を検討してきた。終了次第、当協会のホームページで公開する予定となっている。また、準メジャー作物の農薬登録についても、従来から試験費の一部を農薬メーカーに助成し促進を図ってきた。今後も推進していく。

IPM 後押しに向け一元的な資材評価を
IPM(総合防除)も重要な課題と認識している。当協会は23年度から新農薬実用化試験成績検討会の中に「IPM資材連絡会議」を設置し、生物農薬、天然物由来農薬、IPMに活用できる農薬以外の防除資材を一元的に評価する体制を作り、IPMの推進を図っている。
さらに、当協会の情報発信の一環として重要視しているシンポジウムについては、1回目を25年9月に「最新の水稲における病害虫防除を巡る課題」というテーマで行った。米が全国的な話題になっていたこともあり、多数のご参加をいただいた。2回目は、「温暖化がもたらす新たな病害虫発生リスクを考える」のテーマで1月22日に開催した。ここ数年来猛暑が続いている状況を踏まえ、温暖化による病害虫発生の変化などについて議論を深めることを目的としたものであったが、このテーマも関心が高く多数のご参加をいただいた。今後とも時宜を得たテーマ選定を行い実施していく。
また「農薬ハンドブック」を5年ぶりに改訂し、先般刊行した。21年以降に国内で登録された新規有効成分の解説を追加するとともに、内容についてもさらなる充実を図った。植物防疫関係者に広くご利用いただきたい。

病害虫や雑草に関する最新の情報を知りたい場合は、各都道府県の病害虫防除所などにお問い合わせください。
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