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野菜の病害:温暖化の影響 長期化傾向

更新日: 2026/02/18
執筆者 農研機構 植物防疫研究部門 作物病害虫防除研究領域 生物的病害虫防除グループ グループ長 窪田昌春
2026年2月18日付日本農業新聞掲載

 温暖化により、春季の早期から晩秋までの野菜病害の発生期間が長期化している。

異なる作用機作でローテーションを

 施設栽培においては、盛夏の前後でのキュウリ褐斑病、ピーマン・ナス黒枯病、トマト褐色輪紋病・すすかび病など、冬季周辺の暖房期では各作物の灰色かび病の増加が懸念される。
 各作物のうどんこ病も含めて、茎葉に発生するこれらの糸状菌病害は、農薬の散布による防除効果が高いが、薬剤耐性菌が発生しやすいため、異なる作用機作の農薬をローテーション散布する必要がある。作用機構分類(FRACコード)がMと数字の組み合わせからなり、薬剤耐性菌が発生しにくい多作用点接触活性阻害剤を基幹としたい。
 また、病斑上に大量に胞子形成して風媒によって施設内にまん延するため、胞子形成が始まる前の発病初期を見逃さず、あるいは常発圃場(ほじょう)ならば発病適期には予防的に、防除を開始することが重要である。

施設では高湿度や微小害虫に注意を

 トマトでは葉かき跡や植物の傷口から感染する立枯病の発生が拡大している。同病を対象とする登録農薬はまだ少ないが、作物体への農薬散布、土壌や施設資材の消毒に加えて、植物残さの処理を確実に行いたい。
 これらの病害は、いずれも感染時に高湿度を必要とするため、施設の換気や空気循環に努める。施設栽培の果菜類では、微小害虫でもあるコナジラミ類やアザミウマ類によって媒介されるウイルス病害が急増している。温暖化により媒介虫の活動期間が長期化することで、これらのウイルス病害による被害も深刻化している。これらのウイルス病を防ぐには、さまざまな技術を組み合わせて微小害虫の防除を徹底する必要がある。


トマト灰色かび病(左)とコマツナ苗立枯病


露地では降雨前の予防を心がけよう


 露地栽培においては、高温時の豪雨後に、細菌や疫病菌による葉根菜類の腐敗性の病害が発生しやすい。銅剤などを降雨前に散布して予防したい。
 特にネギではいろいろな細菌種による腐敗が多発している。北陸・東北以北における夏越えのタマネギ作型でも、細菌病に対する注意を要する。
 近年は、酷暑と少雨により盛夏の作物病害の発生は減少しているように見えるが、秋まきや秋定植の葉菜類などでは、降雨後に苗立枯病が多発しやすい。これらの病原菌は土壌に常在している。土壌の水分過多などの環境条件により発病するため、土壌改良や高畝により水はけを良くし、簡便に土壌に処理できる水和剤、粒・粉剤を利用する。前作などで被害が大きかった圃場では土壌消毒も選択肢とする。
 露地栽培の地上部茎葉の病害では、冬季の暖化によって各作物のべと病や菌核病の発生期間が長期化する。露地栽培においても地上部の病害は、主に農薬散布によって防除する。ネギ類のべと病では、気温と降雨データを基にして、インターネットで利用できる発生予測システムが開発されており、効率良い適期防除に利用したい。

タマネギべと病
キャベツ軟腐病



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