よみもの
環境調和型農業の普及めざす JA全農
2026年2月18日付日本農業新聞掲載

JA全農は、日本の農業を取り巻く環境変化に対応するため、従来の中期計画に代わる長期的な目標として「JA全農事業ビジョン2030」を策定した。近年、農業は気候変動や環境負荷の増大、農業従事者の減少、資材価格の高騰など、複雑で厳しい課題に直面している。こうした状況の中で、農業の持続性を確保し、次世代に豊かな食と農をつなぐためには、環境に配慮した生産技術の導入と経営の効率化が不可欠である。
「JA全農事業ビジョン2030」は、前中期計画で掲げた6つの全体戦略を継承しつつ、さらに深掘りし、戦略ごとの重点ポイントを整理したものである。その戦略の一つである「環境および社会的課題への対応」は、環境負荷を軽減しながら農業経営に貢献できる技術や資材の普及を進めることを一つの目的としており、その目的達成に向けた取り組みをいくつか紹介する。
「グリーンメニュー」の実証と普及
「グリーンメニュー」とは、耕種農業において環境負荷を軽減し、かつトータルコストの低減によって農業経営に貢献できる技術・資材を体系化したものである。23年度から全国のモデルJAと連携し、普及活動を進めている。
このメニューは「化学肥料の使用量低減」「化学農薬の使用量低減」「温室効果ガスの排出削減」「化石由来資源の低減・転換(脱プラ)」といった視点で構成され、特に「化学農薬の使用量低減」では「総合防除/総合的病害虫・雑草管理(IPM)」が鍵となる。JA全農は、天敵保護装置「バンカーシート」などを活用したIPMの普及・
拡大に取り組んでおり、「イチゴハダニゼロプロジェクト」などの技術情報を展開し、地域ごとのIPM防除プログラム構築につなげていきたい。
生物由来農薬とBS取り扱い強化し普及

JA全農では、現在、環境調和型農業に資する資材のラインナップ拡充を図るため、生物由来農薬(残留基準の設定を必要としない農薬など)やバイオスティミュラント(BS)資材の開発や取り扱いの強化および普及活動を進めている。
生物由来農薬については、『プロブラッド液剤』が25年3月に農薬登録を取得した。本剤は、主に海外で食用として使われているスイートルーピン豆由来の新規作用性を有する「発芽スイートルーピン抽出たんぱく質(通称BLAD)」を有効成分とし、野菜類のうどんこ病やトマト・ミニトマトの灰色かび病に登録のある殺菌剤である。
この有効成分は、食品衛生法において「人の健康を損なう恐れのないことが明らかな物質」として設定されており、残留基準値の設定が不要で、天敵に対する影響も少なく、使用回数の制限はない。
これらの特徴は、農水省の策定した「みどりの食料システム戦略」にも適合する製品であり、例えば既存化学農薬の体系から一部薬剤を置き換えて使用することで、化学農薬の使用削減に貢献できるだけでなく、他剤の耐性菌発達を遅らせることにも役立つと考えられる。販売は、26年春を予定しており、今後普及を進めていきたい。
また、BS資材については昨年度から2品目(「クロスバリュー」「エンビタ」)を全国的な取り扱いとして現地試験を行いつつ普及を進めており、今年度からは、さらに2品目(「なつつよし」「アビオスリーF」)を取り扱う。
これらBS資材は農作物やその周囲の土壌が本来持つ機能を補助し、高温、乾燥などの非生物的ストレスへの耐性を高める資材とされており、気象条件の変化に伴う現場の課題解決につながると考えられるため、本会として普及を進めていきたい。
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