よみもの
果樹の病害:病原菌密度に気を付けて
2026年2月18日付日本農業新聞掲載
2025年は平年よりも早い梅雨入り・梅雨明け、また夏期の高温によって病害の目立った発生はなかった。一方、オウトウ灰星病、カンキツ黒点病、セイヨウナシ褐色斑点病、オウトウ褐色せん孔病、リンゴ褐斑病およびカキ炭疽(たんそ)病では、巡回調査で発生量が多かったこと、また降雨の影響を警戒して注意報が発出された。発生園では、これら病害の病原菌密度が高くなっている可能性があるが、薬剤の効果を十分に発揮させるためには圃場(ほじょう)衛生に努め病原菌密度を低く維持することが重要である。ここでは果実生産に影響を与え例年注意が必要な病害として、リンゴ褐斑病、ナシ黒星病、ブドウ晩腐病について紹介する。
リンゴ褐斑病
葉および果実に発生する。越冬した被害落葉上にできた病原菌の胞子が雨とともに飛散し、4~6月に新葉に感染する。葉に侵入した病原菌は潜伏し、7月以降に病斑を形成する。病斑上には胞子が形成され雨とともに飛散して隣接した葉に感染を繰り返す。8月下旬から早期落葉を引き起こし、多発した場合には著しい落葉によって果実品質に影響を与える。また果実表面に黒点を生じ外観を損ねる。
防除は生育初期の感染を防ぐ目的で開花期~6月ごろ、また夏季以降の感染を防ぐ目的で7月以降~収穫前まで行い、登録のある薬剤を散布する。

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ナシ黒星病
「幸水」「豊水」で被害が多い。越冬した被害落葉、芽基部の病斑から飛散した胞子が伝染源となる。3月下旬~5月に降雨とともに胞子が飛散し、幼果や新葉に感染、発病する。夏季はいったん発病が収まるが秋季になると再び感染、発病する。秋季に発病した葉に形成された胞子は芽のりん片に感染し越冬、翌春に芽基部病斑を形成し伝染源となる。黒星病に対しては、生育初期の防除が重要でありDMI剤、チウラム剤などを散布する。
この時期は黒星病に対するナシの感受性が高くなっているので、定期的な防除を行う。また、秋季にはりん片への感染を防ぐために、収穫後から落葉期にかけてジチアノン剤、有機銅剤などを散布する。薬剤防除以外には被害落葉の除去も効果的である。

ブドウ晩腐病
収穫期の果房を腐敗させるため経済的な被害が大きい。病原菌は幼果の時期に感染するがすぐには発病せず、収穫が近づき果実の糖度が上昇すると急速に腐敗を引き起こす。
伝染源は5月ごろから収穫期までの期間に飛散するが、雨とともに飛散するため温暖化に伴う降水量増加によって被害が増えることが心配される。本病の防除は発芽前から行い、マンゼブ剤、フルジオキソニル剤などを散布する。果房が雨に当たらないようにすることが重要であり、雨除けや袋かけは効果的な対策である。休眠期には、前年の被害果房や棚線に残った巻きひげを取り除いて圃場衛生に努める。

病害虫や雑草に関する最新の情報を知りたい場合は、各都道府県の病害虫防除所などにお問い合わせください。
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