よみもの
総合防除で薬剤抵抗性・耐性発達を抑制
2026年2月18日付日本農業新聞掲載
病害虫・雑草の防除は、安定的な農業生産を行うために欠かせない。地域の農業生産の安定および持続的な発展を支え、食料の安定的な供給を図るために、極めて重要である。日本は温暖・湿潤な気象条件であり、病害虫・雑草が発生しやすい状況にあることから、品質の良い農作物を安定的に供給するための資材として、農薬の適切な利用が欠かせない。一方で、化学農薬の使用と薬剤抵抗性・耐性の発達は切り離せない課題となっている。
地域に合った防除指導を
化学農薬の使用に伴う薬剤抵抗性・耐性の発達リスクは、病害虫・雑草の種類、化学農薬の作用点の違い、栽培地域における気象条件、品種、栽培方法の違いに基づく化学農薬の使用回数によってさまざまに異なる。このため、都道府県では地域で薬剤抵抗性・耐性の発達を確認すべき病害虫・雑草について薬剤感受性検定を行い、農水省ではその検定結果を取りまとめ、主に都道府県の植物防疫担当者などに対し情報共有を行っている。
こうした体制により、都道府県は薬剤抵抗性・耐性の発達回避や、効果的な農薬使用に資する防除指導などを行っている。化学農薬を使用する限り、薬剤抵抗性・耐性の発達はつきものである。このことから、薬剤感受性の低下が疑われる場合には薬剤の切り替えだけではなく、防除指導上の使用回数の制限や混用、作用機構分類(RACコード)に沿ったローテーション散布の推奨などによって、各地域での薬剤抵抗性・耐性の発達状況に応じた適切な管理を行うことが最も肝要である。
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(原図・青森県産業技術センター)
「予防・予察」を重点に実践
農水省では、こうした薬剤抵抗性・耐性の発達の他、温暖化などの気候変動の影響による病害虫・雑草の発生パターンの変化、「みどりの食料システム戦略」に基づく化学農薬使用量(リスク換算)の低減などの植物防疫を巡る状況や施策の変化に対応するべく、化学農薬のみに依存しない「予防・予察」に重点を置いた総合防除の推進を行っている。
総合防除は、「予防」「判断」「防除」の各段階において、地域や圃場(ほじょう)の実情に応じて、利用可能なあらゆる選択肢の中から、経済性を考慮しつつ、病害虫・雑草の発生および増加を抑制するよう、適時に適切な措置を合理的に組み合わせるものである。
総合防除の実践により、「予防」の措置や化学農薬以外の防除措置が取り入れられることによって、新たな薬剤抵抗性・耐性の発達の抑制・回避、さらには、生産現場で利用可能な防除効果を有する農薬の維持・確保が図られ、地域の防除ニーズに対して持続的な対応が可能になる。
薬剤抵抗性・耐性の発達に困っている農業者におかれては、抵抗性品種の導入、病害虫の発生源の除去などの病害虫・雑草が発生しにくい生産条件の整備、圃場の見回りや発生予察情報に基づく適時・適切な薬剤の散布など、「予防」「予察」に重点を置いた総合防除に取り組んでいただきたい。
また、都道府県や農業者団体におかれては、関係団体、農薬メーカーなどとも連携し、農薬の適正使用や農薬の作用機構分類などを踏まえた防除指導、農薬の取り扱いや薬剤抵抗性などに関する正しい知識の普及啓発を通じて、農業者の理解の醸成を図っていただきたい。
病害虫や雑草に関する最新の情報を知りたい場合は、各都道府県の病害虫防除所などにお問い合わせください。
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