よみもの
[農家の特報班]異常気象「生産減」6割 高温・豪雨の影響大きく
2025年12月8日付日本農業新聞掲載

日本農業新聞「農家の特報班」が今年の高温・豪雨が農畜産物に与えた影響をアンケートしたところ、全回答者の6割に当たる69人が例年と比べて生産・出荷量が「減った」と答えた。酷暑の中、幅広い品目で生育が減退したという声が寄せられた。突発的な豪雨などの打撃もあり、生産現場が厳しい環境に置かれている実態が改めて浮かび上がった。
アンケートは特報班のLINEで告知し、11月の7日間、インターネット上で募集。無作為抽出の世論調査と異なり多様な意見を聞くため調査した。40都道府県の118人が回答した。うち専業・兼業農家、農業法人従業員は101人だった。
生産・出荷量が例年と比べて「やや減った」が37%、「大きく減った」が21%だった。等階級や格付け、糖度や着色などの品質も「やや下がった」が36%、「大きく下がった」が14%だった。数量、品質ともに、全回答者の半数以上が低下を実感していた。
.jpg)
ナシマルカイガラムシの被害によって枯れてしまったリンゴの木(投稿者提供)
害虫、雑草抑えられず
また、生産・出荷量や品質の低下原因として、「高温」に加え「害虫」「病害」「雑草」「豪雨」などが挙がった。
青森県の60代男性果樹農家は、害虫などの被害でリンゴの生産・出荷量が例年に比べて3~4割減った。昨季の大雪の影響で十分に剪定(せんてい)できず小玉傾向となり「高温と大雪のダブルパンチ。かつてない異常気象。管理しきれない」と話す。
富山県の70代男性農業法人の従業員は「水の確保が難しく、水田の除草がやりにくかった」と話す。田植え後、一発剤をまくも「水が少なくなり、一部で雑草が抑えられなかった」。稲穂の中の雑草は「かつてない多さだった」と困惑する。
.jpg)
水稲の中で茂る雑草。「今年は今までにない発生量だった」という(投稿者提供)
気象が農業に与える影響に詳しい九州大学大学院の広田知良教授は「高温などの異常気象は、もう毎年発生すると考えるべきだ。最新の気象予測に基づく対策の迅速な開発、普及が必要だ」と話す。
(高内杏奈、柘植昌行)
病害虫や雑草に関する最新の情報を知りたい場合は、各都道府県の病害虫防除所などにお問い合わせください。
また、日本農業新聞ホームページ(https://www.agrinews.co.jp/)では無料会員登録をすることで一部の記事を無料で検索・閲覧できます。





