よみもの
総合防除 一層の推進が課題 農林水産省
2026年2月18日付日本農業新聞掲載

農薬は、温暖・湿潤な気候のわが国において、品質の高い農産物を安定的に生産するために必要不可欠な生産資材であり、食料安全保障上、重要な生産資材である。
一方、農作物に被害を及ぼす害虫や病原菌、雑草などの防除や、植物の成長を調節するために用いられるという農薬の特性上、生物に対してさまざまな影響を有する可能性があるため、農薬取締法に基づき、事前にリスクを評価して、人の健康や環境に安全な使用方法が設定できるもののみを登録し、製造・販売・使用できる仕組みがとられている。
農業生産に用いられる農薬の安全を確保するためには、農薬の安全性の評価が最新の科学的知見に基づくものであることが重要であり、このために設けられたのが、2018年の農薬取締法改正で導入された農薬の再評価である。また、登録の際に定められた使用方法や使用上の注意事項を守って農薬が使用されることも同じく重要である。
さらに、十分に安全性を評価した上で登録されるとはいえ、薬剤で病害虫を防除している中、薬剤抵抗性を獲得した病害虫が発生する事態も生じており、化学農薬のみに依存しない「予防・予察」に重点を置いた総合防除の一層の推進が課題となっている。
農薬の再評価着実に
農薬の再評価は、同じ有効成分を含む農薬について一括で、国内での使用量が多いものから優先して実施することとしている。26年1月末時点で、59成分について農業資材審議会に諮問済みであり、各農薬は、食品安全委員会、食品衛生基準審議会、中央環境審議会などでの審議も経て再評価の審査が進められていくこととなる。25年は再評価導入以降初めて5成分について審議を終了したところである。25年4月に導入した並列型の審査方式をフル活用して、着実かつ迅速な再評価を進めていく。
農薬適正使用の推進
農薬ラベルの表示事項に沿った使用が重要であることに加え、周囲で予告なく農薬が使用されたことを不安・不快に感じた方からの相談などが寄せられている状況を踏まえ、25年度の農薬危害防止運動は、「使用前、周囲よく見てラベル見て」をテーマとして実施した。
特に、住宅地などで農薬を使用する際の周辺への配慮および飛散防止対策、農薬ラベルによる使用方法の確認、土壌くん蒸剤を使用した後の被覆資材の設置などの適切な管理、誤飲や盗難を防ぐための鍵のかかる場所での農薬の保管管理などを重点的に指導――することとしたところである。
特に、再評価を受けた農薬や20年4月以降に登録申請された農薬については、①農薬使用者への「被害防止方法」として作物ごと、使用方法ごとにきめ細かく防護装備の着用②ミツバチへの「被害防止方法」として使用時期や使用場所の制限―が設定された。農薬ラベルに表示される場合があるので、農薬ラベルをよく確認していただく必要がある。


環境と調和のとれた食料システムの確立
25年4月に策定された食料・農業・農村基本計画において、環境と調和のとれた食料システムの確立が掲げられている。その中で「みどりの食料システム戦略」と同様に、化学農薬の使用量(リスク換算)を低減していくこととされている。
このため、農薬登録の優先審査の要件に「環境負荷低減に必要な技術の地域への普及を図る上で、特に必要なものとして、都道府県より早期に登録するよう要望が提出されていること」を加えた。
引き続き、生物防除資材などの新規資材の登録を推進するなど、環境と調和のとれた食料システムの確立を図っていく。
病害虫や雑草に関する最新の情報を知りたい場合は、各都道府県の病害虫防除所などにお問い合わせください。
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